これまでの歩みを教えてください。
昭和29年で父の代から始まり、私は2代目です。 学校卒業後、4年半は日産のディーラーにいました。 半分メカニック、半分は営業で「車の販売店とは何ぞや?」という基礎の部分を身につけたと思っています。 街工場とディーラーでは考え方がちがって「親会社から降りてきた仕事を着実にする」という事と「自分たちで仕事を考え作り出していく」という部分で仕事の進め方の違いが見えました。
天領自動車に入庫される車はどのような車が多いのですか?
自動車整備の腕の良し悪しって故障診断が早くできるかどうかだと思うんです。 今後はテスターがあれば誰でも診断ができて、まるごと交換すれば車が直るという仕組みになっているじゃないですか。 だからというわけではないと思いますが、弊社に入庫される車はテスターでは対応できない車が多いんです。 他の工場が嫌がるような輸入車の旧車から最近の物までご依頼頂いていますね。
お客様はどのように来られる方がいらっしゃいますか?
口コミ、紹介が多いですね。 場所柄車通りの多い所に面しているので、通った時に古い輸入車が多く入庫されているのを見たという方が「うちの車も見てもらえませんか?」とご来社頂いた事もあります。 国産車も修理するんですよ!でも並んでいるのが輸入車ばかりなので、気が付いたらお客様も輸入車の方が必然的に多くなっていました。 だからお客様に勘違いされてしまっている事もあるんですよ。 「輸入車ばかりやっているから値段が高いんじゃないか?」「国産車の修理なんかやらないんじゃないか?」と聞かれた事があります。 全然そんなことないんですよ(笑)
入庫されている中でもジャガーが多いですよね?
30年以上前のジャガーだったり、ダイムラーダブルシックスだったり、ジャガーEタイプが入っていますね。 特に多いのがv12気筒エンジンのジャガーXJ-Sやダイムラーダブルシックスです。北は北海道、南は九州鹿児島からお車が入庫されるんですよ! 一番奥ではジャガーのエンジンのオーバーホールをしていますしね! その他にもMGやトライアンフなど古い英国車もご入庫頂いています。 昔からお取引のあった中古車販売店でジャガーの専門店があったのですが、そこが販売のみだったのでアフターフォローを弊社でやっていたんです。 そこがきっかけにはなっていると思います。
ジャガーの下請けをされているのですか?
いいえしていませんよ。 ジャガーの好きなお客様同士の口コミで入庫しているものがほとんどです。
工場を拝見してみて、車を大切にされているお客様が多いように感じますが・・・
そうかもしれません。 車検を格安で通すだけという人はまずいないと思います。 車を大切にしていて、ちゃんと長持ちさせたいというお客様がほとんどです。 車も人間と一緒で、健康診断を一度もせずに50歳を迎えた人と、毎年健康診断をして悪いところは治してきた50歳では、毎年健康診断している方が自分の体の状態に自身が持てるでしょう? 車も健康診断なしで、止まってしまった時には手の施しようがない状態という事もたまにあるんですよ。 点検をして、車を大切にしているお客様とは本当に長いお付き合いができているな~と思います。 弊社は指定工場なので、その点でもしっかりしたサポートは出来ている自信はありますよ!
全て格安で済ませるよりもトータルコストは安くなりそうですね。
そうですね。 初めて来られたお客様に状態説明をすると「壊れてしまう前に相談したかった」と言われる事も良くあるんですよ。 ダメになりそうな部品があるけど、今は直さないというのはまだいいとして、ダメになりそうな部品があるけどそれを知らないまま乗り続けている状態が良くないと思うんですね。 最終的にどうしようもなくて買い替えたりオーバーホールしたりするよりは、維持費が抑えられると思いますね。
これからの課題は?
今は既存のお客様が多いのですか、既存のお客様も私と同じく歳を重ね、車に乗らなくなったりもするので毎年減っていくんですよ。 だから長くお付き合い頂ける新規のお客様に、弊社の業務内容や方針を理解して頂くためにはどうしたら良いか考える事が課題になっていますね。 輸入車ばかりでなく、国産車をお持ちの地元のお客様の層にも是非ご来店頂きたいと思っているんですよ!
販売はされているのですか?
新車取り扱いが出来るようにはしています。 中古車は在庫を置いていないので、お客様から注文が入り次第仕入れています。
お客様対応で心がけているポイントは?
お客様の求める事を会話の中で把握する事です。 費用を優先で考えているのか、全部きっちり直したいのか、段階的に直していきたいのか、お客様によって考えも色々ですし、そこを把握できないと弊社からも「こんな風にしてみては?」という話も出来ないんですよ。
これからやってみたい事は?
車が電子化されると故障もどんどん減ってくると思います。 今後も旧車や名車が残っていくのは難しくなると思うので、お客様と一緒に旧車名車を元気な状態で残せるようにして行きたいですね。