現在のメイン事業について教えてください
30年以上車業界で仕事をしていますが、昔はお客様のご要望に応じて一般販売している車をカスタムをするチューニングと、それに伴う部品販売メインに事業展開をしていました。 年々時代の変化とともに事業内容もかわり、現在はワンオフパーツでちゃんとサーキットを走れる仕様に車を作る事がメインになったので、広く一般のお客様対象というより、ニッチなモータースポーツに関わりたいというお客様を対象としたチューニングショップになって行きました。
30年以上車の業界に携わっていて時代の変化を肌で感じる事はありますか?
僕が自動車業界に入った頃はスポーツカーが全盛の時代だったので、各自動車メーカーもスポーツカータイプの車両を販売してしたので「車=ステータス」であり、男としてモテる為のツールの一つでもあったんですよ! 年代が変わるごとにユーザーの価値観も変わり、欲しい車両も変化してきているな~と思う事はあります。 あとは、車業界全体の課題にもなるのですが、部品交換をするメカニックではなくキチンと車を作れるエンジニアが少なくなってきましたよね。
確かにどこの店舗でも同じような声を聞きます。
コンピューターの入った車が増えてくるにあたって、プログラムの分かる人、ハード面の分かる人、車体の分かる人、それぞれ育てるには時間もコストもかかってしまうならアセンブリー交換をするような車の作りに変えてしまおうとメーカー側も変わって来てしまっていますからね。
渡邉代表が車業界に入られたきっかけを教えてください。
モータスポーツがきっかけだったんですよ。 90年代前半の事です、単純にモータースポーツが好きでたまらなくて飛び込みました(笑) 今は学歴なども問われるので、モータースポーツの業界で仕事をする敷居はあがりましたよね。 昔は本当に職人気質な世界だったんです。 「モータースポーツが好き」という情熱があれば何度断られても、門をたたき続ければその門は開いたんです。
最初はモータースポーツのメカニックとして仕事をされていたんですか?
そうなんです。 当時やっていたグループAというカテゴリーがある時代でした。 レジェンド星野さんが現役で走っていたころなんですよ! 入りたての僕からしてみると憧れの人が隣のピットにいましたからね、本当に刺激的な現場で仕事をさせてもらっていました。
実際にモータースポーツの仕事をされて見ていかがでしたか?
学生時代は華やかな世界だと思いましたが、実際は戦いの場所ですから厳しい現場ではありましたよ。 グループC、F3000、グループA、N-1という4つのカテゴリーを6~8人のメカニックでまわしていましたから、忙しさはケタ違いでした(笑) 今だと研修があって当たり前だと思いますけど、当時はそんな手厚い研修もなく、必死でついていって覚えていきました。
そこで得た経験が今に活きているのですね!
そうですね。 レースのメカニックをしていた時は、レース車両が壊れてもメーカーが「これを使って下さい」として指定されるものが無かったので、いかに目の前の車両を早くする為のチューニングが出来るかが勝負でしたからね。 トライ&エラーの連続でしたよ(笑) 40歳を過ぎたレースのメカニックだとものづくりがわりと出来るんです、30代前半のメカニックだと少し厳しくなってくるのかな? それは人の問題だけではなくて、車両の元々の構造上の問題も関係していますけどね。
御社のお客様もレースをされる方がほとんどだと思うのですが、メカニックとしてアドバイスされる事も多いのでは?
単純に「○○をつけたい」と言われても断る事も多いんですよ! お客様のリクエスト通りにやれば、部品代、工賃、お金にはなります。 でもお客様がそのパーツをつけて後で後悔してしまう物は極力勧めたくないんです。 仕事をする以上僕にも責任が発生します。 お客様がこのパーツをつけたいからといってつけて、このパーツをつけて公道を走らないという一筆を書いて頂いたから僕の仕事が終わりというわけではないんです。
お客様に対しても社会に対しても責任感のある御社の姿勢を感じます!
「こだわりのある人とこだわりのある仕事がしたい!」それが僕のポリシーでもありますからね。 お客様がそのパーツをつけてどうしたいのか聞いた上で、本当にその目的をはたせる物なら受けますよ。 お客様にも約束や責任の一端は持って頂きます。 もちろんお客様がつけたいと言ったパーツよりも良いものがあるなら提案もします。 良いパーツ、使えるパーツを知るために、僕自身もレースに参戦して自分の車で試したりしていますからね!
渡邉代表もレースに出ていらっしゃるんですか?
「車作れるけど乗れない」これじゃ乗っている人の気持ちなんで分からないじゃないですか? ビジネスって大切だけど、お金儲けだけを優先に考えて仕事をしている訳じゃないからね。 ドライバーの意図を汲み取るには自分もその目線に立っていないといい仕事って出来ないんですよ。 それが出来る事が弊社の強みでもあると思うので、レースに出つづけています。
どのようなレースに出ていますか?
年に一度エンジョイ耐久というレースがあるのでそのレースに出たり、各チューニングショップのデモカーをタイムアタックさせるようなレースのエンジニアリングも請け負って出たりしています。 全てのチームにデータロガーが付いている訳ではないので、実際はドライバーの乗ったコメントで車を評価して、その車をより勝てる車に昇華させていかなくてはいけないんです。 ドライバーの特性を理解して反映する為にも、自分でレース参戦するのは重要な事だと思っています。
最後にこれからモータースポーツをしてみたい方にアドバイスを下さい!
走行会で調べたら色々あるから、まずはサーキット走ってみなよ! サーキット主催のものもあるんだよ。 食わず嫌いより食って嫌いになって欲しい(笑) 一回でもリアルに体験してみたら、限界性能までは分からないと思うけど、サーキットの広さとか人が飛び出す心配もないし気持ち良さがみえてくるんじゃないかな?