FNATZ

TAKESHI FUNATSU

フナッツ舩津剛史

とても気さくに話してくださった船津代表。 フランクな人柄の中に職人気質のこだわりが見え隠れする。 そのこだわりも、自身のこだわりではなくお客様の希望の走りを叶えるという信念に近いと感じた。 FNATZの車づくりは、船津代表のミクロとマクロで物事を捉え、考え、作り上げる姿勢が具現化されたものだろう。

お客さんが車好きであればあるほど僕はお客さんが一番こだわりたい要望を叶えてあげたいんだよね。

起業から何年目をお迎えですか?
2001年にFNATZを立ち上げたので、今年で18年目突入になります。 現在の工場に引っ越したのが3年前になります。 起業してしばらくはすごく小さい所でやっていたんですよ。 FNATZを起業する前はチューニングメーカーで開発をやっていたので、車業界での仕事歴は・・・随分長くなっちゃいましたね(笑)
どうして「セッティング」にフォーカスされたのですか?
車の免許を取る前はバイクにも乗っていたので、車を買った頃は何も知らずに「走り」を純粋に楽しんでいたんだけど「ただ走るだけじゃ早くなれないよ」「車高調って知っている?」みたいな話を周りから聞いて、自分なりに研究したり深堀するようになったのがきっかけ。 勉強したり研究したりしているうちに車高調どころか、エンジンとかコンピューターまで行きついちゃった(笑) まあ、人それぞれ車への関心を寄せる入り口って違うけど、お客さんが車好きであればあるほど僕はお客さんが一番こだわりたい要望を叶えてあげたいんだよね。 その部分で「チューニング」「セッティング」っていう要望を叶えてくることも多かったし、自分も1番研究に没頭できたからじゃないかな。
コンピューターのセッティングとはどのようなことをされているか伺っても良いですか?
たとえて言うなら、料理をする時に調味料はどのくらい入れるのか、塩は先に入れるのか後にするのかっていうのを決めるのがセッティングの大枠だよ。 ただ、レシピを決めたとしても材料自体がまずかったらどうしようもないでしょう? 美味しい材料にするためにエンジンを組み上げて、コンピューターで調味料を足して仕上げる感じ。
理解しやすいです!
エンジンを組める人はたくさんいるんですよ。 ただ、どれくらいのクリアランスで組むかによってエンジンのパワーが変わるし、技術と経験の蓄積が必要なポイントなんです。 メーカーから出ている仕様書はあくまで新車時のポテンシャルを再現するための物。 FNATZでやっているのはその車の持つポテンシャルを最大限に引き上げたいというお客さんの希望に添う車を作ることです。
セッティングをする時はエンジンに合わせてコンピューターを設定するのですか?その逆なのでしょうか?
良い質問ですね!基本的にはエンジンに合わせます。 街乗りもサーキットもそこそこ大丈夫なニュートラルなセッティングを仮に㈪としましょう。 パワーを出したり弱めたりするふり幅があるドリフトよりのセッティングを㈫としましょう。 5速全開の最高速のドラッグレースよりのセッティングを㈰としましょう。 エンジンを組む時も㈰〜㈫の何番によせていくかというのはあるんですけど、コンピューターにも㈰〜㈫番それぞれに対する基本の設定基準がFNATZ独自であるんです。 エンジンを組んでいく人とコンピューターの設定をする人がお互いのやっていることを理解しないと難しい仕事なんですよ。 FNATZだと僕と内山というスタッフが二人三脚でセッティングをしています。
ツーカーの仲じゃないとできない仕事ですね!
そうだね。ツーカーというか、阿吽の呼吸というか(笑) お客さんがどうしたいかを把握してそれをエンジンに反映して、エンジンをそうするなら僕はコンピューターをこうするよって話はよくしています。 セッティングをしてからも微調整を話し合って、お客さんの希望が叶うように作り上げていく感じですね。
お客様にはどのようなヒアリングをされるのですか?
エンジンの圧縮比、ピストンのメーカー、燃料等ですね。 厳密に言うともっともっとあるのですが、必要な情報はすべてヒアリングしています。 必要事項に不足があるとセッティング中に壊してしまう可能性がありますから。 壊れるとセッティングした人の責任になっちゃうんです(笑)
ヒアリングの時などでお客様に対し心掛けていることはありますか?
お客さんの緊張を解くこと。 敷居が高いんじゃないかって思っているお客さんが多くて、最初に来られるとみんな緊張しているんですよ。 だからお酒でも一緒に飲んでいるかのような話からスタートして緊張を解くようにしています。 そこから徐々に本題に戻しつつ、今工場で作っているものを見せながらどんな要望があったからこの状態になっているとか、事例をみせて説明したりするんです。 そうすると、自分がこんな風にしたいって思っていたのがFNATZならこんな感じで仕上げてくれるんだってイメージが持てるでしょう?車は自己満足でいいと思うんですよ。周りが「走りもしないのにエンジンの馬力上げてどうするの?」なんて言う人もいるだろうけど、お客さんには最初のヒアリング時そんな周りの声なんか聞かなくて良いって伝えています。その自己満足を叶えるのがFNATZのミッションだし、自己満足を叶えた先に楽しさがあるからね!
そもそものお話になってしまうのですが、車に興味を持ったきっかけはどんなところだったのですか?
僕の場合というより僕達の世代はバブルの頃で、六本木に遊びに行ったって素敵な女性がたくさんいて「男は車持ってなきゃ始まらないよね?」なんて言われることも多かったんですよ。 ドラマを見てもカッコいい主人公がスポーツカーに乗っていたので、女性からも憧れの対象だったんです。 外見は整形でもしない限り変えられないじゃないですか(笑) だったらモテるための最初のスタートラインとして「車だけはカッコいいのに乗りたいっ!」ていうのが車に興味をもつ入り口っていう人が多いと思いますよ。
船津代表も?
僕もご多分に漏れず「モテたい」が車に興味を持った入り口です(笑) でも実際に車を持ってみたら車の雑誌も読むようになって、カスタムとかレースとかいろんな世界があるんだなって思うようになったんです。 車を知るようになると「走り」「カスタム」「ドレスアップ」各方面にはまっていくでしょう? その一つで「チューニング」「セッティング」が僕にはしっくりきたから今があるんだと思います。
話はかわりますが、現在御社で課題に感じていることはありますか?
FNATZの課題っていう小さいことじゃなくて、よく同業の人たちと話し合うのは車業界全体の課題が大きいですよね? ざっくり言うと若者の車離れかな? 実際30代のお客さん層が少ないって販売店でも聞くんだけど、なんとかしたいよねっていつもみんなで話すんだよ。 僕達みたいな車業界の人間がやらなくちゃいけないのは、僕達くらいの世代の人たちが世の中で主導権を持つ時代が来たので、メディアで車にフィーチャーしてもらえるように横繋がりを持ったり、認知度が上がるようになんとかしていくことなんじゃないかな?
車業界全体を巻き込むのは難しそうですね。
そうかもしれないね。 今の会社は子供に残すつもりがないっていう社長さんも多いしね。 考え方として「子供が大きくなった頃は電気自動車になっていじるところも無くなるだろう」って思っている社長さんが結構いるんです。 でも、子供が大きくなる頃って僕達世代はまだ働かなきゃいけなくなってくるだろうから、それに備えて「電気自動車の勉強してる?」って話を身近な社長さんと話すんだよ。 誰かが言わないと誰も現実を見ようとしないからね。
最後の質問になりますが、これからFNATZでやってみたいことはありますか?
僕多趣味なんです(笑) 興味を持ったことはいろいろやってみたいんですけど、車で言うなら「電気自動車の研究」ですね。 月一ぐらいのペースで海外出張に行くと、日本はまだまだ電気自動車のためのインフラ整備が遅れているな〜って感じるんですよね。 今は車が普及し始めた頃のような過渡期の手前なんじゃないかな? 今やっている通常のエンジンのパワーを上げたりする仕事があるように、電気自動車でこんな風に走りたいというお客さんが出てくる時代はもうすぐだと思うので、その時にお客さんの願いが叶えられる会社が残る会社。 前もって勉強して研究しておくことって大事だよね。

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