足回りを重点的にやろうと思った理由は?
もともとスキッパーブランドとしてエアロパーツあって、当時でいうとセンティアとか、そういった時代の車両を作ったりしていたのですが、車高を落とすうえで、ただ落とすだけだと利便性がなくなってしまう場合があるので、ハイドロを使うような形になりました。一般的にハイドロというとアメ車に付けるイメージだと思いますが、うちのハイドロの特徴としてはホッピング目的ではなくて、車高調整が目的です。乗り心地と利便性ですね。車種問わず、取り付けることが可能です。軽自動車とか、イベント用の車輌とかもありますね。
エアサスとの違いは?
車高が低い状態でも、ハイドロの場合は乗り味は一緒なのですが、エアサスの場合は低い車輌だとエアがたわんで乗り味が柔らかくなってしまうという、本当に細かい違いはあります。メンテナンスも、油圧なのでオーバーホールさえしていれば長く使えます。お客さんによっては次の車に移植したりして10年以上、使っている人もいます。初期費用としてユニット代はかかりますが、一回付けた方はリピーターとして使っていただけるケースも多いです。
ハイドロのユーザーはどれくらいの年代の方が多いのですか?
幅広いですね。足回りって車種を問わないじゃないですか。若い子だったら10代で免許を取ってすぐくる方もいれば、ハイエースなんかだと職人さんが現場に乗っていくのにハイドロを付けるケースも増えています。なので日本全国にお客さんも散らばっています。北は北海道から南は九州まで、ユーザーさん、業者さん問わず手掛けます。あまりハイドロ屋って聞かないと思うんですけどね。
実際、どのように作っていくのですか?
キット物は車種限定であるのですが、それ以外に関しては全部ここに車を入れてもらって、一台ずつ制作します。車によってホイールとかエアロパーツとかついていたりして条件が違うので、その車にごとに一つひとつを手作りで作る感じです。オーダーメイドみたいな感じです。トランク回りに関しても、スペアタイヤのところに入れてくださいとか、見せたいからリアトレイに乗せたりエンジンルームに入れたりとか、いろんなパターンがあります。パイプから曲げて作っていく感じですね。だから同じものはないと思います。遠方の方はフェリーなんかで持ってくるのでどうしても費用がかかっちゃうんですけど、それでもやってほしいというお客さんはいるので、それはありがたいなと。10年以上前ですが、一か月ほどロサンゼルスに滞在して何台か作ったこともあります。海外では、マニホールドを使っているタイプは、ハイドロの業界ではあまりないので、向こうの人もびっくりしていました。
お客さんは口コミが多いですか?
そうですね、実際乗ってもらった方が、あそこの足回りいいよって言ってもらって、どんどん広がっていくパターンですね。特に今はSNSの時代なんで情報は早いですよね。
ハイドロ以外にはどんなことをされていますか?
エアロパーツやガルウイングなんかも作ります。ガルウイングはワンオフで作ってオリジナルのものを用意している感じですね。ガルウイング自体は少なくなっていますが、自分のところで作っているからこそ残せているのかなと。基本的にはドレスアップは多いです。そのときの流行りを取り入れながらいろんなことをやっています。ガルウイングは上海でやってくれという人がいて、実際に行ってきました。
海外からも依頼が来る理由とは?
メイドインジャパンっていうのが、海外からすると信頼度が高いです。昔は日本製と海外製は雲泥の差でしたが、今はだいぶ近づいてきています。それでもまだ、メイドインジャパンは大きいのかなと。エアロパーツも海外への出荷も多いですよね。
では、事業をするうえで大変だったことなどはありますか。
特にこれと言ってないですね。ハイドロもガルウイングもそうですが、メーカーとしてオリジナルの部品を作っているので、製品づくりの難しさは感じます。ブレーキキットや電装の部品なんかも作りますよ。
ハイドロはレースカーなんかにも入るのですか?
一時期、D1のスポンサーとして入っていたこともありますので、つながりはあります。ハイドロというよりは普通に足回りを手掛けたという感じでしたが。
色々と手がけていますね。こちらに来れば、すべて揃えられそうです。
コンプリート車輌も作ったりするので、全て任せ頂けたらと思います。カスタムであれば何でもやります。スキッパー=ハイドロ屋というイメージが強いですが、本当に色々なことをやっています。カスタムだけでなく、タイヤ交換や車検などもやりますよ。
実際、お客さんに対してアドバイスすることなどは?
車両やジャンルによって、ある程度は伝えます。もちろんお客さんの意見を主として考えたうえで、アドバイスするという感じですね。頭ごなしにこちらの意見を押し付けたりはしません。カスタムカーは人それぞれやり方はあるので、形にこだわらず、単純にカッコいい車ができればなと。カスタム人口も減っているので、余計にそう思いますよね。
では、サービス面で重要視していることなどはありますか?
一つひとつが納期のかかる作業が多いので、預かりっぱなしで車検がなくなったというのは絶対にしないようにしています。作業にとりかかれる状態でお客さんに持って来てもらって、一気に仕上げるという感じですね。一台ずつ、回していくような形です。預かった車を一台ずつ、丁寧に仕上げるので、どうしても時間はかかってしまいます。あとは新規の方が入りやすいような店づくりですね。初めて行くお店は勇気がいると思いますので、そのあたりは気遣う部分です。正直、入りづらいカスタムショップも少なくないですよね。誰でも気軽に来ていただけたらと思います。
新たにやってみたい取り組みなどはありますか?
キャンピングカーを作っているお客さんがいて、最近は仕事として少しずつ増えています。キャンピングカーに乗っている人で、改装したいっていう人もけっこういるんですよ。その辺をやってみたり、リチウムイオンのバッテリーを乗せて電源ユニットを積んだりとか、そんな作業もします。呼ばれればどこまでも行きますよ。
では、会社としての今後の目標は?
今以上に、気軽に来れる店づくりを目指すということでしょうか。あとは日々、製品開発ですね。ものを仕入れて売るという時代ではなくなっているので、オリジナル部品を増やそうという意識は強いです。長く続けてこれたのは、オリジナルでやってきたというのが大きいと思います。問屋さんがつぶれる時代ですし、生き残るのに必死です。製品を作るのはいいですが、売るのが課題ですね。流行りという意味では、いまはドライブレコーダーを付ける人は増えていますが、今からその次の流行を探したいと思います。
最後に、これからカスタムをする方に向けてのアドバイスをお願いします。
入りやすいのは足回りなのかなと思います。それをやると、自然に他の部分にも意識が向くと思うので、無理しない程度にやるのがいいのかなと。一人ひとり丁寧に対応していることもあって、うちはクレームがほとんどないんですよ。何十万円もかかることなので、皆さんに満足していただきたい気持ちは強いです。