BALLY HOO

TETSUHARU KAWAKAMI

バリーフー川上哲治

川上代表はとても自由だ。 鳥が飛ぶように魚が泳ぐように、自由に海や空を飛ぶようなアイデアが造形に活かされている。 固定概念や既成概念を無視することは科学にも通ずる。 どこにもない形、どこにもない新しい考え方をデザインに落とし込みたいというユーザーからの信頼はとても厚い。

プロが見ても唸るような作品をこれからも作り続けたいですね

バリーフーとしてはいつごろからスタートされているのですか?
82年からスタート。翌年にディズニーランドオープン(笑) 24歳で起業したんだよ。
御社を表現するとしたらカスタムショップではなく「造形屋」になるのでしょうか?
そうですね。 車とバイクを本当の意味でのワンオフの形に仕上げていくという意味では造形屋になるんじゃないかな。 お客さんが作りたい物を作っているだけなんですけどね(笑)
なぜ「造形」というジャンルに特化されたのですか?
それはとても自然な流れですよ。 やっぱりものづくりをしている以上、人と違うものを作りたいでしょう? 小さい時からプラモデルとか模型とか大好きでしたからね、ボール紙や真鍮の板を使ってゼロから作ったりしていました。 基本は「近くにあるものを使って今までなかったものを作る」 クリエイトしていく過程も子供心に楽しいと感じたんじゃないですかね(笑) だから「こうあるべき」といった既成概念は一切無視!
本当のワンオフという意味がよくわかります!
僕はお客さんの欲しい物を作るだけなんだけど、まわりは「バカじゃないの!」って言うこともありますよ。 でもそんな外野の意見も無視! だって、自分のお金で自分の欲しい物を作るんだから外野に左右されるお客さんには「喝!」ですよ! それもあって中途半端な考えで来るお客さんはいないんです。
賛否両論、山あり谷ありだったのでは?
そりゃ賛否両論ありますよ。 日本のカスタムショップはカスタムショップの特徴があって、そのデザインを好む人がショップでカスタムをしてもらうでしょう? それが日本ではうけるカスタムなんだろうけど、そのカスタムショップに出入りするお客さんはみんな同じような車になっちゃう。 それじゃちょっと退屈だなって僕は思うんだよね。 日本人はカスタムするって言っても人と違うことしたがらない。 僕は同じじゃないものが好きっていうお客さんと世界に1つしかない形を作っているから、賛否両論あって当たり前(笑)
考え方がアメリカのカスタムをする職人のようですね!
僕にとってはとても標準的な考え方なんだけどね(笑) 日本は自分たちを守ろうとする保守的な考えが多いように思うんだよ。 それはモータースポーツでもそうなんじゃないかな? だからレースをやりたいと思っている若い子は早くに海外に出た方が伸びるよ!
川上代表もレース参戦されていたのですか?
80年代に四駆のレースは出ていたよ。90年代はパリダカールも完走しました。 その後もモンゴルのラリーにオフィシャルで行ったり、コース作りしたりとか・・・ 色々やっていたなぁ〜!
四駆のレースはみたことありません!
ジープとかでモトクロス場みたいなところをを一斉スタートするっていうレース。 ぶつかって当たり前のレースなんだけど、それが楽しかったのって車に高額な費用をかけなくてもコースの凹凸や土をよめたら勝てるところ。 今はSTIの監督をしている辰巳さんとは、レース中にお互いの車両の色がつくくらいぶつかり合ってたんじゃないかな?
バリーフーでレース用の車両制作もされているのですか?
起業当時はね、今はあまりレース用の車は作らないよ。 自分の四駆のレースとカスタムバイクが作りたくてバリーフーを始めたんだもん。
面白い車を作られていると面白いお客様がいらっしゃる印象です。
今預かっている黄色のルノースポールスピダーがベースの車両があるんだけど、あれは元々バイクのお客様からの依頼なんです。 とにかくノーマルでは乗りたくない方で、それこそ30年くらいお付き合いしていますよ。 オートサロンにはそのお客さんが個人で車を出していました。 「マツダの風雷をイメージしてあとはお任せ!」と言われて作った車両なんです。 マンタがデザインのベースになっています。
オートサロン用の車も作られているんですか?
バリーフーとして出すわけではないんですけど、依頼があったので今まで5台くらい作りましたよ。 お客さんが「深海魚シリーズ」って名前をつけていました。
深海魚だから作るものが流線形のやわらかいデザインが多いのですね!どのようにそのやわらかなラインを作られているのですか?
僕の場合ラフスケッチとかは全然書かないんです。ましてCADデータから型を作るとかもしない。 考える人と作る人が同じ人ならイメージは頭の中にあるから、実数値のCADデータはいらないんだよ。 作り始める時はまず、物理的に可能なライトの位置決めをして、フレームの構造を考えたうえでボディラインを考えるようにしているよ。 僕の基本は「あるもの」「使えるもの」で車を作ることだから(笑) クレイとかも使わないで、発泡ウレタンとFRPで作っちゃう。
乗り物と魚が一致する感覚は初めてです!
でも結局は流体力学と空力ってほぼ一緒なんだよね。 さっきの黄色い車はマンタレイっていうんだけど、あれは140キロを超えるとダウンフォースがかかるように計算してあるんです。 ダクトを大きくしようとか考えなくても、大事なのは後側からいかに空気を逃がすかって事。 CD値よりも重要なんだよ。 ロングテールにして乱流を減らしながら空気を流して、そこに冷却系を持ってくと効果的。 そう考えると自然に形は出来上がるものなんだよね。
公道は走れるのでしょうか?
もちろん! 車検も通せるしメンテナンスもしやすいし、極度に車高を下げたりもしていないよ。 せっかく作ったのに堂々と走れなかったら意味ないし、車高下げすぎてコンビニに入れないとかふみきり渡れないとかダサイでしょう? どこでも気を使わないで走れた方がカッコいいよ。 それに、カスタムした車ってメンテナンスがしづらい物もいっぱいあるんだけど、車を楽しむなら後々のメンテナンスも考えて作った方がいいよね? その方が飽きないで乗れると思うんだよ。 どこでも安心して乗れるようなデザインの車を作ることが僕のこだわりの1つ!
その他のこだわりを教えてください。
一般のお客さんが見て感動するのはあたりまえ。 プロが見て感動する物を作ることかな? ボンネットを開けた時、パーツを外した時、下から見た時、プロが見ても唸るような作品をこれからも作り続けたいですね。
今後やってみたいことはありますか?
いっぱいありますよ! 一番近い未来に叶えたいのは今ロードスターがあるので、それをオフロード仕様にするのが楽しみです。 昔のラリー車のようなデザインにしようかな? パリダカールラリーとかアメリカのオフロードレースのような雰囲気に仕上げたいと思っています。

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