WORKSHOP SAM

OSAMU TANAAMI

ワークショップ・サム棚網修

「職人気質」という言葉がまさにぴったりな棚網代表。 かといって頑固で堅物といった人柄ではなく、柔軟で車業界への考え方もグローバル。 ただ、扱う車は難敵だろうと思えるような1960年代の車であり、個性的なラインナップばかりだ。 日本にも、いや、世界にも難敵(古い輸入車)と真摯に対峙できる職人はそうはいないだろうと感じた今回の取材。 古い輸入車と長く付き合っていきたい方には、ワークショップサムが最後の砦になりそう!

「1台をきっちり仕上げるのが弊社のスタイル、そこを貫いて30年になります。」

ワークショップサムさんの特徴を教えてください。
認証工場なので、車検、点検、整備、板金等何でもお受けしてますが、受ける車種がかなりニッチな車種が多いというのが特徴ですね。
ニッチな車種とはどんな車種ですか?
2000年よりも前の古い輸入車が多いですね。
起業の経緯を教えてください。
工業科の出身ではなかったので、働きながら整備の夜間学校へ行って2級まで取得しました。 親方の所から兄弟子の店舗へ移り、そこでも10年修行をして30歳の時にワークショップサムを立ち上げました。 起業した時はお客様も何もかもゼロからのスタートだったから大変でしたよ(笑)
ゼロスタートで最初にされた事はなんですか?
最初はホームページ立ち上げて、問い合わせが来たお客様の車を念入りに直していました。 古いシュトロエンを直してお渡しすると、そのお客様が古いシュトロエンが好きな別のお客様を紹介してくださったんです。 古いランチアを直すと、またそのお客様が同じ車種のお客様をご紹介くださるといった感じで少しずつ増えて行きました。
古い輸入車直せる技術はどのように習得されたのですか?
元々、日本に輸入車が入ってきた時に、とある団体があって、そこから派生して輸入車ディーラーが普及していったそうです。その時代に輸入車の整備や点検をしていた人たちが工場や店舗を持つようになり、我々が修行に入って親方の技術を学んでいきました。 職人気質の修理屋で育った最後の世代なのかもしれませんね。そういった日本の職人気質みたいなものが無くなって来ているのは少し寂しい気もします。
棚網代表はどちらで修行をされたのですか?
僕はアルファロメオをメインにしている所で最初の修行をしました。 必然的に古いキャブレターの車ばかりを見続けていた結果、次の修行先も古い外車屋さんというくくりになっていったと思います。 親方に「技術の安売りはするな!」と言われながら育ちました。
現在工場を運営されていると思いますが、販売もされているのですか?
販売はほとんどしていません。修理がメインですね。
古い輸入車の修理をメインにしているという事は、修理の腕を皆さんが信用されているんですね!
いや~修理の腕はみなさんそれぞれ経験を積んでされているので、どこの工場もしっかりした技術をお持ちだと思いますよ。車種ごとに詳しい方はたくさんいますので、よく教えてもらう事もありますよ。 信用して頂いているとすれば、「正直に」と「丁寧に」の2点でしょうか。修理の際になるべく写真を撮り、作業内容と修理代金を明瞭にしてお客様に納得して頂くという努力はしています。そして、その写真には古い車を現存させていくために、修理の枠を超えたプチレストアみたいな丁寧さも写っていると思います。 修理や整備のスピードを上げて、数をこなすスタイルは修理工場の経営としては理想ですが、通常の修理時間では直し切れない案件もたくさんあります。当店が取り扱う車種から鑑みて、数をこなすスタイルはなかなか難しいですね。それなりの単価でお受けしても単価に合わない事もしばしば・・・ 数はじゃんじゃんこなせない分、1台をきっちり仕上げるのが当店のスタイル、そこを貫いて20年になります。
20年続けられる情熱の根源はどこにあるのですか?
僕も随分と昔のアルファロメオに乗っていたので、古い車が好きなんですよね。 古い車ってちゃんと直さないと、錆びて朽ち果てて鉄くずになって、最終的にはスクラップじゃないですか! なるべくあの頃元気に走っていた車を残したい!と思うのは僕ら同業者の願いでもあるんですよ。 たまたまその車を手にして維持できるだけのお客様の財力と、我々の技術力があれば残していけるという話しであって、けして独りよがりな物でもないんです。
お客様と技術者の共有できる「思い」といった感じですか?
そうですね。 本当に車好きでどんなに費用をかけても直したい!と思ってくださるマーケットは少なくはなっていますが、お客様がそう思ってくださって下さる限り絶対にやり続けなければならない仕事でもありますよね。
車でありながら、ある意味芸術品のようにも感じますよね?
そうかもしれませんね。欧米では旧車の保存が盛んなようですね。車を文化として保存・継承していくという考え方が多く広まっているのだと思います。技術面でもドイツのマイスター制度などの考え方も文化を残すことに一役買っているのかもしれませんね。乗る人達も有形財産として残したい!自国の車は世界に誇れる車!と思っていますしね。(日本でも同じように国産や欧米の名車が元気に走っているシーンが増え続けるといいですね。
棚網代表の車好きに火がついたのはいつごろですか?
昔スーパーカーブームがありまして、晴海の展示場に見に行っていたのが小学生の頃です。 お客様も同年代の方が多いので、きっとその頃に車好きを自覚したんじゃないですかね? お客様とも当時のカウンタックやフェラーリの話してもりあがるんです。子供のころに感じたスーパーカーのデザインやスペックや音などにとても大きな影響を受けました。たまたま私は修理屋になりましたが、同じ思いを感じてお車を大事にしているお客様との出会いは、友達に会ったように楽しい時でもあります。
最後に、棚網代表がこれからやってみたい事は?
自分の遊び車を作りたいですね! 小さいイタリアの車でも英国車でも何でもいいんですけど、「おしゃれで快適で小気味よく走る」という旧車では矛盾しがちな要望を、程よいレベルで実現して日々の乗用車に仕上げたいですね。お客様からのオーダーだといじりきれないところも、自分の遊び車なら思い通りに出来ますからね!

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ワークショップ・サム

03-3425-0147

営業時間:9:00~19:00

定休日:日曜・祝祭日

東京都世田谷区経堂5-12-4

https://www.autocar.jp/specialshop/2012/05/25/34831